番外編① 雷に打たれる

私は、大学に入る前に一浪しましたので、就職したのは23歳の時です。


就職して2年目くらいから、結婚する30歳までの間に、長期休みを利用して、年1回は必ず『国内一人旅』を楽しみました。


プロフィール その4に書きましたが、「私をいつもお守り下さっている方がいる。一人じゃない」と高校生の時に教えていただいたお陰で、それからは、ひとりでいるのは苦ではありませんでした。

ただ、元々臆病な性格であるため、さすがに国外一人旅には行けませんでした。

(海外に初めて行くのは、新婚旅行で!と漠然と決めていたのもありますが)


初めての一人旅で、老舗旅館に泊まったところ、宿の仲居さんに「この人、女一人で来て、自殺するんじゃないだろうか」と思われたことがあります。

今では女性の一人旅は当たり前かもしれませんが、当時はまだ、若い女性が一人で旅館に泊まる光景はあまり目にしなかったのかもしれませんね。

宿は混んでいてお忙しかったでしょうに、とても手厚い接待を受けた思い出があります。


次の年からは旅館やホテルではなく、ユースホステルに泊まる様になりました。

一人で旅行をするのは苦ではありませんが、旅先では人恋しくなり、話し相手が欲しくなります。

そこで、友人にユースホステルを紹介され、泊まってみることにしました。

ユースホステルは、男女別の相部屋で、一人で来ている方が多いので、同室の女性たちとはすぐ親しくなれますし、食事の時間には男性たちとも旅の情報交換が出来て、とても楽しいところでした。

その魅力にハマってしまい、わざわざ人里離れたユースホステルに泊まりに行くこともありました。


就職3年目に、岩手県の遠野(とおの)ユースホステルに向かっていた時でした。

その日は非常に激しい雨が降っており、空が真っ黒でした。時折、強い雷が光って凄まじい雷鳴が響き渡っていました。そんな中、最寄りの停留所でバスを降りると、そこは、田んぼと茅葺き屋根の民家が数軒しかない場所でした。

折り畳み傘を開いて歩き始めましたが、命の危険を感じ、途中のとある民家の茅葺き屋根の下で雨宿りさせていただくことにしました。

そうしたら、住民のおばあさんがわざわざ出てきて下さって、中の玄関で雨宿りさせていただくことになりました。

30分くらい経った頃でしょうか。雨が少し小降りになってきたので、おばあさんにお礼を行って、覚悟を決めて外に出ました。

その民家から、ユースホステルまでは200mくらいでした。

宿は見えているけれど、足の遅い私は、走ってもすぐには着けないだろうと思い、ゆっくり歩いて行くことにしました。

折り畳み傘を開いて、1歩歩きはじめた途端、『ピカッ』と大きな閃光に包まれました。

一瞬、「死んだ!」と思いました。

しかし、光った瞬間、その稲光が傘の木の柄部分から真下に落ちたのをこの目でハッキリ見ました。

雷は、私の体内を通るより、直接下に落ちた方が早いと判断したみたいです。

真下の地面に落ちましたが、幸いなことに、感電しなかったみたいで、足などにもヤケドの跡はありませんでした。


この時ほど、大好きだった祖母を始め、私をお護り下さっている方々に感謝したことはありません。


『雷に打たれた』ことに何か意味はあったのでしょうか。その後も普通に旅を続けることができましたし、帰ってからも特に変わったことはなかった気がします。


あとになって、『雷に打たれる』スピリチュアル的な意味を調べてみました。

浄化」「変革」などの意味がある様です。

全てをやり直した方が良い」「変革の時が訪れている」というメッセージだそうです。


私はこの意味を知らず、そのまま過ごしてしまいましたが、知っていたら、何かを変えることが出来たかもしれません。

ただ、この時から「自分が今生きていることはありえないくらい有難いことなんだ!」「いつ死んでも悔いがないように生きよう!」と強く思う様になりました。