こういう人に、私はなりたい!番外編〜三蔵法師

中国の伝奇小説、『西遊記』に出てきた「三蔵法師」をご存知でしょうか?

本名を「玄奘(げんじょう)」とおっしゃいます。

お釈迦様が亡くなってから700年後に、お釈迦様の教えが6956巻の「論・律・経」という三部経として編纂されたのですが、それを全部修めた方を「三蔵法師」と言うそうです。

玄奘は、三部経を最初に修めた人なので、「三蔵法師」または「玄奘三蔵」と呼ばれています。


日本のドラマでは、夏目雅子さんという、とても綺麗な女優さんが演じてらっしゃいましたが、実際の玄奘三蔵は、身長が2.1m、体重が110kgもある巨大な男だったそうです。


玄奘は、まだ三蔵法師になる前の27歳の時、仏教の経典を貰い受けるため、西にある天竺(北インド)に向けて、長安の都から1万5千キロの長い旅に出ました。

長安の郊外に差し掛かった時、ボロ布をまとった老婆がうずくまっていたそうです。

老婆は玄奘に、「お坊さま、私の体の膿を吸い取って下さい」と言いました。

玄奘が事情を聞くと、当時、長安では、体に膿が出来る病(昔で言うライ病、今のハンセン氏病)が流行っており、その膿を家族が吸い取ることで治ると信じられていました。

老婆も家族に頼んだところ、「とんでもない」と言われ、町外れまで連れて来られ、打ち捨てられてしまったのだそうです。

これから天竺まで、ありがたいお経を取ってきたい玄奘は少し考えました。

口で膿を吸い出したら、自分も感染して死ぬかもしれない。でも玄奘は「わかりました」と言って、その老婆の腕に口をつけました。

口をつけた瞬間に、老婆はボッと音を立てて10mぐらいの光の柱になり、その柱の中に観音様が現れました。

老婆は観音様の化身だったのです。

玄奘よ、これからの旅は長く苦しいものになるであろう。もし困ったことやつらいこと、命に関わることがあったら、このお経を唱えなさい」

その時に教えてもらったのが、「般若心経」だったということです。


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私が、これから何万キロも歩いて、ありがたいお経を取りにいかなければならない立場であったら、老婆のお願いには絶対に応えられないと思います。

でも、目の前に今にも死にそうな方がいるのに、放置して逃げる人間にもなりたくはないです。

自分にも感染してしまうかもしれない恐怖に打ち克って、勇気を持って助けられる人間になりたいです。

(口で言うのは簡単だし、実際にその立場になったら逃げるかもしれませんが、心構えは持ち続けていようと思います。)


現在、医療に携わっている方々は毎日このような状況に直面しておられますね。

心から敬意を表しますとともに、今の経験がのちに宝に変わると信じて、日々過ごされますよう、陰ながら応援しております。