こういう人に、私はなりたい!① 〜天龍寺の貫長さん

誰よりも優しくなりたい。

そのためには、精神的に打たれ強くならなければなりません。

私が今まで読んだ、小林正観さんの本の中で「この人はすごい!」と思った方をご紹介したいと思います。


天龍寺貫長さん】

〜『悟りは3秒あればいい』より抜粋


ある時、正観さんは、玄侑(げんゆう)さんとおっしゃる臨済宗のお坊さんとお知り合いになったそうです。

その玄侑さんが京都の天龍寺で修行していた時の話です。


毎朝、作務衣(さむえ)を着て、玄侑さんが掃除をしていると「おはようございます」とにこやかに挨拶される方がいらっしゃいました。

この方は、天龍寺貫長さんで、お寺で最高位の方でした。


この貫長さん、毎朝決まった時間に天龍寺の近くを散歩されていたのですが、決まって毎日出会う男性がいました。

その男性に、毎日同じように「おはようございます」と挨拶して、会釈されていたそうです。

けれどもその男性は、一度も挨拶を返しませんでした。

それでも貫長さんは、毎朝笑顔で挨拶を続けました。


三年経ったある日のこと。

いつものように「おはようございます」と笑顔で挨拶した貫長さんに対して、その男性はついに声を発しました。

「ごめんなさい」と言って、ガバッとひれ伏したというのです。


この男性の心に何があったのかは大した問題ではありません。頑なに挨拶を拒み続けた人に対して、三年もの間、笑顔で挨拶をし続けた人がこの世にいる、という事実がすごいことです。


     ◆          ◆          ◆


私は、近所の方に、大きな声で「おはようございます!」と言って、無視されたことが何度もあります。

その度に「なぜ無視するんだろう」といちいち腹が立ち、落ち込むことが多いです。

たった何回かでも、心が折れるのに、笑顔で三年も言い続けられるなんて、信じられません。


挨拶をし続けることは、この貫長さんからすると、相手が返してくれようがくれまいが、何事にも動じなくなるための「修行」だったのかもしれない、と正観さんは締めくくっています。


この貫長さんの様に、いきなり強靭なメンタルを身につけることはできませんが、私も今度から「相手からの返事が返って来なくて当たり前」と考えて、言い続けようと思います。

そうすれば、いちいち落ち込まなくて済みそうです。

紙切れ1枚ずつでも、精神的に強くなって行きたいです。